糺の森コラムColumn

Vol.15

平成30年台風21号被害復旧整備状況報告

平成30年9月の台風21号により、多くの樹木に被害がおよんだ糺の森は、1年6ヶ月を経てようやく樹木の処理が終わろうとしています。

本号では改めて、当時の被害状況を振り返るとともに、復旧整備された下鴨神社境内の様子を一部ご報告します。

※台風21号は、京都市内で日最大瞬間風速39.4メートル、日最大風速21.8メートルを観測。この暴風の影響で、府内では負傷者28名、住家の一部損壊392棟、鉄道の運転見合わせ、道路の通行規制、停電等の被害が発生しました。

 

樹々が生い茂り、緑に囲まれていた糺の森の馬場(写真上)ですが、台風後は倒木や幹折れにより様子が大きく変わりました

(平成30年9月4日、17時17分撮影)

 

平成30年9月4日に、「糺の森」に甚大な被害を与えた台風21号については、その後の調査により、27種288本の樹木被害が確認されました。
被害形態を大きく分類すると、

①樹木全体が揺さぶられ根系が切断し、根株が地面より完全に抜け転倒、転伏する「根返り木/89本」

②樹木全体が揺さぶられたり、ねじれたりすることにより、樹幹が途中から折れる「幹折れ木/69本」

③枝葉が揺さぶられることにより、大枝が折れる「大枝落ち木/114本」

④周囲の根返り木、あるいは幹折れ木により間接的な被害を受けた「巻き添え木/16本」

の4タイプとなります。

樹幹が途中から折れた南口鳥居の「幹折れ木」

 

復旧作業の内容

(1)「根返り木」の内、小径樹は枝折した部分を取り除き重機によりワイヤーにて根を起こす作業を実施しましたが、大径樹については、樹の体重を軽くする必要があるので、重機が耐えられる重量まで幹を切り落とす作業から取りかかりました。

根起こしができる重量にするための幹切断作業

 

(2)「幹折れ木」については、張り裂かれた樹幹の傷害部分を取り除き、菌や害虫を防止する薬剤(癒合剤)を塗るなど再生に必要な処理を施工しました。

幹折れ木への薬剤の塗布作業(癒合剤は、切り口から水分や養分の流出を防ぐ役割もあります)

 

(3)「大枝落ち木」は、高所作業車にて裂けた部分をチェーンソウにて取り除き、さらに地上からは目視出来ない危険枝をそれぞれ撤去する作業を実施いたしました。

最大地上高25メートルの高所作業車による危険枝の撤去作業(高所からの確認により、腐食している危険枝の剪定作業も実施できました)

車両搬入が出来ない場所においては、命綱をつけた作業員が、高木に登り人力による樹上作業となりました

 

(4)特に困難な作業は、境内東側の泉川の流を塞ぐようにして倒れた樹木の撤去作業で、水が堰き止められた状態が続くと、上流の浸水被害や堰き止められた水が決壊し下流へ激流となる等の2次的な被害が発生する危険があるため、早急に実施する必要がありました

泉川の流れを堰き止めた倒木の撤去作業

 

※一般に、台風が南から北へ進む場合は、進行方向の右側(東側)が特に強風となるため、糺の森の被害木についても、境内表参道の東側においての被害が集中する傾向が見られました。

 

表参道入口は倒木等により通行することが出来ませんでしたが、樹木撤去や危険木の伐採により、復旧することができました

 

古代の祭祀場「奈良殿神池」の石垣が根返りにより崩れ、倒木により周辺の散策路も通行出来なくなっていましたが、樹木撤去と整備工事が行われました

 

台風により幹折れした切り口から再生しようとするカシノキ

 

森が元の姿に戻るには、まだ長い年月が必要と思われます。

今後も「糺の森」の復旧にご支援・ご協力をお願い申し上げます。

 

(糺の森財団)

令和2年3月31日

 

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